「映画かと思ったんですよ。」

「どうしてあんなこと、してくれたんだ。」


——これはイチロー 最後の闘いで、引退試合後について語った言葉。 

私はこの最後の闘いを東京ドームで観ていた。なんとなく、こうなると思ってがむしゃらにチケットを取ったのだ。

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試合が始まってすぐに「イチロー、第一線を退く」と報道があったので、これが引退試合になることは皆わかっていた。
試合が終わり、20分くらい僕らはとにかく待った。ウェーブをしたり、イチローコールをしたり。この時、23:30近く。ライブが終わったのに、ひたすらアンコールをしている気分だった。

とにかく、最後にイチローが観たかった僕らは終電の時間を気にしながら、イチローが出てくるのを待った。

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——遡ること約1年前


2018年のゴールデンウィーク。私はシアトルにいた。シアトルで1週間ホームゲームが続き、そこに大谷翔平のいるロサンゼルス・エンゼルスが来ると知ったのだ。
仕事は落ち着きそうで、4月28日という直前の直前でチケットを取った。(この時、39度の熱があったことを考えるとかなり強行軍だった。)

イチローは外野4-5番手だったので、守備固めで出てくるイチローと、代打で出てくる大谷翔平が同じ試合で観られればラッキーくらいで、シアトルに向かった。 

しかし、結果はこうだ。

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とある日、Uberを降りた瞬間に、日本テレビの記者に捕まり、数時間後の夕方のニュースに私は出ていた。

この取材を受ける前日、イチローはスタメンだった。
ここ最近、チャンスでは代打を出されていたが、この日、イチローに代打は出ず、なぜかフル出場だった。

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なんだか違和感を感じたままホテルに戻った。
しかし、その違和感の正体が何者かを知り、自信から確信に変わった。翌朝のニュースで特別補佐に退くことを知ったのだ。

この時から、2019年の東京ドームでの開幕戦でイチローが引退するだろう、と感じていたのだった。

こうして、2度のイチローの引退を観た。
私の知る限り、この2度のイチロー最後の試合を観ていたのは、イチメーターのエイミーさんと私だ。もちろん他にもいるだろうが、数えるくらいだろう。

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私はいつの日からか、イチロー選手が好きだった。それは、日本人が世界で闘うことの難しさをビジネスを通じて理解していたからかもしれない。 

私が知る限り、アメリカでも認められた日本人はイチローだけだ。